2000/5/13  作成

赤瀬駅

三角線 「赤瀬駅」 この駅は町から外れた山のなか、美しいツツジと共に静かな時を過ごしている。

    

古いタイプの駅名標が雰囲気を盛り上げる。    ツツジが彩り、山間の駅に楽園が広がる。     そして列車は去って行く… 

   訪問日記   2000年5月9日 訪問

  この駅は鹿児島本線の宇土駅から分岐し、有明海へと突き出した宇土半島の先端へ伸びる三角線にある。和やかな車窓を眺めながら走る列車は、およそ1時間に1本やって
 来るためアクセスしやすい。かように恵まれた環境のため、“秘境”というほどではないが、ひっそりとした山間の駅に見られる独特な雰囲気が持ち味である。以前、青春18きっぷ
 のキャンペーンポスターのモデル駅として選出されたこともあり、その年にはここを訪れることが静かなブームになった。駅から人家は見えないため人気を感じないが、狭い舗装
 路を降りて行くと海水浴場があり、夏場のシーズンには賑わうと思われる。

 今日は早朝から夜行特急の「ドリームにちりん」で博多入りして、話題の新型特急である885系「かもめ」に乗車した。写真では見たことがあったが、普通車にもかかわらず豪華な
 本皮のシートが据えられ、短時間だが優雅なひと時を味わった。これは下手なグリーン車より全然快適である。あまりの快適さに寝てしまい、降車予定の諫早に到着してから飛び
 起き、慌てて下車する始末だった。こうして近辺にある駅訪問をするが、現川、東園などは周囲に人家が多過ぎるため、スイッチバックの本川内駅以外は興味の対象にはならなか
 った。高千穂鉄道で見たような“本物の秘境駅”はどうやらこの地区には存在しないようだ。半分残念な気分で再度885系の「かもめ」に乗車、鳥栖で787系の「有明」と九州特急の
 速さと快適さを存分に味わった。
 
 熊本に到着してから1両きりの三角線に乗り換え、ここへやって来た。車内は立ち客こそ居なかったが、だいたい席は埋まっていた。この細長い宇土半島は人口密度が多く、また
 もや空振りか?、と当初諦めていた。しかし、ここは私以外に誰も下車せず、乗車してくる人もいなかった。山間にひっそりと佇む雰囲気に、ようやくたどり着いたという充足感を得
 ることが出来た。こうした意外性もまた、旅の面白さを際立たせるのだろう。