2023/03/10 作成

板谷駅



スノーシェッドに覆われた板谷駅。ログハウス調の待合室が可愛らしい。

      

       本線から旧駅に向かう線路が単線で残されている           スノーシェッド内のホームは薄暗い    旧駅のホームはスイッチバック終端式で既に雑草が繁茂する

     訪問日記    2015年5月16日

     福島県と山形県の県境を越える板谷峠。ここに鉄道が建設されたのは1899(明治32)年5月15日のこと。何と134年も前から板谷駅はここにあるのだ。
    当初は蒸気機関車による運行だったが、昭和24年に直流電化され、後年交流電化に切り替えられている。路線の名物は赤岩(廃止)-板谷-峠-大沢の
    4駅連続のスイッチバックで、早期に電化されたのも頷けるが、それでもこの区間を通過するには膨大な時間を要した。何しろ最大38パーミルという急勾配は、
    ディーゼル特急であっても補機なくしての通過は叶わなかったのである。この隘路を克服するため、平成3年11月から標準軌化の工事に入り、翌4年7月に
    山形新幹線が開業した。ちなみ現在ここを短絡する米沢トンネル(23km)が計画されている。開通後この旧線は廃止される運命に違いない。

    前置きが長くなったが、この板谷駅は険しい峠の通過において重要な拠点であった。現在は新幹線が通過する標準軌になっており、ホームは豪雪から
    守るためスノーシェッドに覆われている。停車するのは普通電車が一日あたり5往復で、それも朝夕に偏ったダイヤのため昼間の運転はない。しかも2023年
    から大沢駅とともに冬季通過駅になってしまった。人家は十数軒で郵便局もカネヨの石鹸工場もあった筈だが、便利になる反面、こうして人々が去り街が寂れて
    いく姿をまたしても目撃することになるだろう。