2000/5/15 作成

海路駅

肥薩線 “海路駅” 球磨川の辺りに言われないと気づかないような小さな駅ががあった

    

老人が一人列車を待っていて、なんとなく絵になる光景であった      瀬戸石ダムが近いので、深い山中に大河が流れているような錯覚を覚える

   訪問日記  2000年5月10日 訪問

  今回、肥薩線の山越え区間である人吉-吉松間の秘境駅に重点をおいて訪問したが、前日の人吉へ向かう急行「くまがわ」の車内から通過して行く駅を観察していたところ、
 とある駅に異常に興味が惹かれた。それが、この“海路駅”で、球磨川の辺りに目立たぬ様にひっそりと存在していたのである。周囲に人家は4〜5軒しかない。眼前に流れる
 球磨川を堰き止めた瀬戸石ダムが完成する前は集落があったそうだが、大部分が水没してしまった。そして、左上の写真に写っている、お爺さんに聞いたところ、その数少な
 い民家も皆んな老人が一人だけになってしまって、この駅を利用するのは1日に2〜3人程度だそうだ。
 
 今回はこの駅を訪問する為に少し散財してしまった。まず、人吉駅から急行「くまがわ」で一勝地駅で降り、後続の普通列車がやって来る前に4駅先にあるこの駅まで小型タク
 シーを使ったのであった。初めにタクシーの運転士さんに聞いた所によると、5000円は掛かるとのことであったが、シーズンオフであることだし無理言って3500円で行ってくれる
 よう交渉したところ成立!さらにラッキーなことに、同じ方角の途中の村役場まで行かれる初老の方が居られ、相乗りになったため、結局3000円の出費だけで済んだ。タクシー
 の車中では運転士さんが、色々とこの海路駅のことを教えてくれたので、詳細な情報も入手出来たことでかえって得をした気分になった。

 25分程で駅に到着しタクシーを降りると、そこには一人の老人がベンチに座っていた。じっと目の前の景色を眺めており、とっても絵になる風景に映った。その老人に駅のことに
 ついて尋ねると、「いつ無くなってもおかしくない駅だねぇ〜」と少しばかり残念そうな返事が返ってきた。少しばかりの会話の後、八代行きの列車がやってきたので乗車し、この
 水辺の駅を後にした。