2000/8/23  作成

小滝駅

大糸線“小滝駅” 人里離れた所に、青い屋根をした古い駅舎が佇んでいて、旅人を和ませる雰囲気を演出する

      

終列車も去って闇に沈む小滝駅は、電灯に集まる無数の虫で賑わった   翌朝、臨時夜行急行の「リゾート白馬アルプス」がゆっくりと通過して行く

   訪問日記  2000年8月5日 駅寝訪問

  ここは大糸線の非電化区間にあり、列車交換設備を備えた青い屋根の駅舎が印象的な小駅である。周囲は姫川第6発電所(水力)と廃屋が2軒、人の住んで
 いると思われる人家は1軒だけしか確認できない。ただし、交通量の多い国道148号が近くを通っているため、トラックの騒音が大きく残念である。駅舎は昭和10
 年に建てられた古いもので、待合室の内部は造りつけの長椅子とJR西日本の各駅に見られる茶色いプラ製ベンチがあった。さらに、外には飲用不可の水道が
 生きており、手洗いに使うことができた。ホームは構内踏切のある狭い島式タイプで、姫川の流れが一望できる。その姫川だが、95年の豪雨災害により、“暴れ
 姫”へと変貌し、大糸線の小滝〜南小谷間が各地で寸断されて不通になった。そのため、しばらく終着駅の役割を果たしていたが、97年11月29日に無事復旧
 した。この災害はとても甚大であり、一時は路線の存続も危ぶまれたが、ここはJR西日本の英断に感謝したいと思う。
 
 今回の秘境駅訪問旅では、上越線の“土合駅”と北越急行線の“美佐島”“大池いこいの森”の各駅を訪問した。すっかり日も暮れてしまい、糸魚川駅から最終
 の平岩行きに乗車し、この駅で駅寝をするために降りた。車掌氏には「何処へ行くのですか?」と聞かれ、少し躊躇した後で、今夜ここで泊まる事を告げると、
 「何も無いよ〜」と言われた。すかさず私は、「別に構わないです」と答える。その反応に多少怪訝な顔をした車掌へ18きっぷを見せ、駅舎へ向かった。列車は
 山間にタイフォンを響かせ闇に消えて行った。

 いつも通り駅寝の準備をするのだが、今回はさすがに参った。何といっても電灯に集まる虫が、“うじゃうじゃと大量に居た”からだ。まるで、虫の巣の中に飛び
 込んだような強烈さ。原因は駅舎の扉や窓を全開にして長期間放置されていたためであろう。仕方なく外にあった竹箒で待合室の大掃除をする羽目になった。
 やっとの思いで終わったら、今度は23:00頃に自動消灯…。疲労困憊してマットの上に横になって寝るが、試練はさらに続いた。今度は顔の上に“雨しずく”の
 ように“虫”が降ってくるのであった。もう寝れたものではない。暑さを我慢しながらシュラフの中に顔を突っ込み、何とか朝を迎えた。

 薄暗い夜明けの外に出てコーヒーを沸かし、カロリーメイトだけの軽い朝食を取る。臨時夜行急行の「リゾート白馬アルプス」が通過する為、三脚を立てて望遠で
 狙ってみた。暗すぎて思うようなシャッタースピードが得らず少々歯がゆい思いをしながら列車を待った。やってきた列車はDMH30HSの12気筒エンジンを唸らせ
 るキハ181が6連で通過。幸い時速20Km程度でゆっくりやって来たため、何とか目立つブレもなく収めることができた。撮影を終えて撤収し、しばらくホームの上
 でノンビリしていると、やがてキハ52が単行でトコトコとやって来た。