2000/5/23 作成

久代駅

山陰本線 “久代駅” 集落から外れた閑静な林の中にそのまま通り過ぎてしまいそうな小駅があった

     

駅は高台にあって一面緑の中に、簡素な待合所と片側だけのホーム     駅の表は林の中に狭い水田、裏は竹林で人家は一切見えない

  訪問日記  2000年5月11日 訪問

  今回の九州秘境駅訪問旅は、帰路を山陰本線回りを選択した。ゾーンきっぷの帰り券は1,000円程度高くなるが、乗車券分は2割引きであることから問題ないと判断。
 時間こそ掛かるが、山陽を周るよりも自然豊かであること、国鉄色の気動車も走っているなどが決定打になった。さらに、同線には秘境駅候補として狙いを付けていた
 駅が幾つかあり、その一つがこの“久代駅”である。延々と乗り継いで乗って来た列車が行ってしまうと、人気の無いホームに一人だけポツンと残された。辺りは田圃か
 ら聞こえてくるカエルの鳴き声だけが響いているだけ。しみじみと郷愁を感じさせる独特の世界である。

 浜田から2駅目のここは、他の駅のように駅前に魚港がそれなりの街が形成されてはいない。駅から人家は見えず、坂を2〜3分程度下ると小さな集落こそあるが、国
 道9号線から外れていため静かな雰囲気である。そんな場所にあるために利用者は極端に少ないようだ。後続の列車を待っていると、乗車する5〜6分ほど前に一人の
 叔母さんがやって来た。叔母さんに聞いた話では、むかしは写真に見える屋根のある待合所も無く、雨の日はとても不便だったという。ようやく雨除けの庇が付いたけれ
 ども、皆が自動車を使うようになって、駅を利用する人は大変少なくなったという。
 駅は新しい訳ではないが大変綺麗で、落書きの類も一切無く、雰囲気も良い。やがて乗車すべき列車がやって来て先の叔母さんの後へと続いた。しかし、この先の各駅
 をひとつ一つ観察していたが、どれもありきたりの駅ばかりで、気が付けば眠りに落ちていたのであった。