2003/07/18 作成
曲沢駅
由利高原鉄道“曲沢駅” 田んぼの中にポツンと取り残されている 見通しは良いが風当たりは強い…
ホームの下は自転車置き場になっている 国鉄時代と同じ様式で駅名票が作られているのが良い 待合室はピッタリと締め切りが出来る
訪問日記 2002年1月9日 訪問
この駅は、羽越本線の羽後本荘駅から分岐し矢島までの第3セクタ−鉄道の由利高原鉄道にある。路線は昭和60年10月1日に国鉄矢島線からの
継承によって開業しているが、この曲沢駅の開業は平成元年10月29日で、国鉄時代から存在している駅ではない。周囲は田園風景が広がっていて、
そこそこ人家は見えるが、どの家も500m近く離れているため、駅だけが田んぼの中にポツンと残されている状態だ。そして、1面1線のシンプルなホー
ムにアルミサッシでピッタリと締め切りが出来る気密性の高い待合室が建っている。何も障害物のないロケーションにあって、容赦なく叩きつける風雪
からしっかりと身を守ってくれる、実に有り難い存在であった。
今回、私はこの駅を訪問するため、北海道秘境駅訪問旅からの帰路を南千歳駅から急行「はまなす」に乗車した。予め指定券を用意していなかった
私は、願わくばゆったりと横になれる「のびのびカーペット車」で長旅の疲れを癒したかったが生憎満席であった。仕方なくリクライニング角度の浅い自
由席に乗車して一夜を過ごした。早朝の青森駅で気だるい体を気遣いながら特急「いなほ8号」に乗り込み、羽後本荘駅までの3時間あまりを睡眠時間
の補充にあてた。羽後本荘の駅前で食料の買出しを済ませ、由利高原鉄道の列車に乗り込んだ。列車は国鉄時代から残されている古い駅舎を持つ
数々の駅に停車しながらゆっくりと走り、20分程でこの曲沢駅に到着した。ここを降りたのは私一人だけであった。時折吹き付ける強い寒風に上着の
襟を立てながら周囲を観察した。「何でこんなこんな所に駅を造ってしまったのだろうか?」これが率直な感想だ。駅を造るための土地取得などに絡む
事情があったかどうかは知らないが、あまりにも不便な立地である。
小一時間あまりで次の矢島行きの列車がやって来たので乗車してこの駅に別れを告げた。JR全線完乗を目指していた私であるが、せっかくだから終
点の矢島までの乗車を果たすことにした。そしてパラパラと幾枚かの写真を撮って、再び乗ってきた列車で折り返した。そして、この曲沢駅にも再び停
車したが、大方の予想通り、誰も降りず誰も乗らなかった。