2001/01/13 作成

瑞穂駅

宗谷本線 “瑞穂駅” 開けた大地に、古い待合室を持った駅がポツンとあった

      

古くて味わい深い待合室は、ドアが白くて洒落ている    周囲に人家は散在しているが、かなり離れている     短い板切れホームは至って質素な佇まいだ

   訪問日記   2001年1月1日 訪問

  ここは、宗谷本線の名寄以南で普通列車の通過が多い駅として、訪問するのに頭を悩ませる駅の一つであった。周囲に広大な平野にあって
 人家は少ないが、通行量の多い国道40号線が脇を通っているため秘境感には乏しい。ただ、古い待合室はドアが白く塗られており洒落ている。
 内部はかなり狭いが、造り付けの椅子があるので、1〜2人なら快適な空間となろう。また、類に漏れず、“駅ノート”が設置されており、見知らぬ
 旅人どうしのコミュニケーションが図られている。

 今回ここには先ほど訪問した“北剣淵駅”から乗車し、通過駅のない“本来の各駅停車”でやって来た。ホームに降りて、待合室は向かおうと歩
 いたら、いきなり「ズボッ!」と深雪に足を捕られた。びっくりして周囲を見回すと、ホーム端にあるスロープから遠巻きに待合室へ向かう歩道が
 有るようだが、この大雪に隠れていて判らないまま、ホームから直接飛び出して墜落してしまったようだ。まあ近道になったし、特にコケることも
 無かったので良しとしようか。

 さて、今回ここで待ち合わせの人がいる。隣駅の多寄に実家のある“なまらさん”に会うためだ。一通り周囲の撮影を終えて、待合室の中で座っ
 ていると、10時頃一台の乗用車がやって来た。降りてきた若い青年に声を掛けると、やはり“なまらさん”であった。彼からは、ネット上でこの地
 にある秘境駅に関する情報を沢山頂いていたのである。彼はこの地で生まれ、小学生の時分より親父さんと多くの駅を訪問しまくったという珍し
 い経歴の持ち主である。こうしてお言葉に甘えて付近一帯にある多くの駅を一緒に周れることになった。彼自身も恐らく昔の記憶を呼び戻す良
 いきっかけになったようで感慨深げに観察していた。最初に“東風連駅”へ行って見たが、宗谷南線の高速化事業と乗降客の利便性を兼ね、
 ホームと待合室の向きが反対方向に移設されており、久しぶりに訪れた彼をも驚嘆させた。だが、待合室が小奇麗なユニット駅舎へと変わり、
 停車する列車こそ少ないものの、付近に人家も多く秘境駅には程遠い雰囲気であった。やがて、お昼時となって“なまらさん宅”で、美味しい年
 越し蕎麦と北海道の美酒“男山”で歓迎を受け、ようやく人心地ついた気分になった。一介の旅人にとってそれは贅沢なひと時であり、有り余る
 幸せに感激した。