2001/06/12 作成

西大山駅

       

  訪問日記  1999年8月8日 訪問

  ここは、日本最南端駅として知られる“西大山駅”で、開聞岳をバックに撮られた写真は鉄道雑誌にも頻繁に登場する。周囲は一面キャベツ畑が広がり、
 一軒の漬物工場がある他は、人家も遠くに散在するだけだ。駅の構造は1面1線の単式ホームで、待合所は庇とベンチだけのシンプルなもの。駅ノートは
 雨風を避ける為にボックスの中に入っており、全国から訪れた人が思いでを書き残していく。さらに枕崎側へ150m程先には“西大山踏切”があり、ここが
 線路の最南端である。しばらく辺りを散策してから、枕崎行きの列車がやって来て乗車することにした。東根室駅と同様に「最 * 端の駅」が無人駅というの
 も、観光色賑やかな有人駅とは違った魅力があるものだ。


         
 
開聞岳に日が沈み、今日も長閑な一日を終える    この雰囲気に浸っている旅人は孤独ではあるが、心は満足感で満たされる

  訪問日記  2001年5月10日 再訪
 

  この駅は、当ページの読者には今更ながら説明するまでも無いほど有名な駅だ。一般的な鉄道旅行者にとっては、到達目標というべき存在であるが、
 何故ここを“秘境駅”として紹介されるのか、3点ほど理由を述べたい。周囲に広大なキャベツ畑と、漬物工場が存在するだけという、人口希薄地帯であ
 ること。列車の本数が少なく、鉄道での到達難易度が高いこと。開聞岳の眺望をはじめとして、自然味豊かな雰囲気であることだ。とりわけ、貧乏旅行に
 徹するアグレッシブな旅人にとって、駅寝をするにも雨除けの庇しか無く、悪天候ではそれこそ眠れぬ夜を過ごすことになろう。それでも、テントを持参す
 る方なら、駅前の広場は人気も少なく、良いキャンプサイトになるかも知れない。さらに駅前広場の一角には大きな木があり、根元にこっそりと水道があ
 ることは特筆されよう。水には全く不自由しないというのは、色々な意味で魅力的である。
 (2001年現在のことであり、現存しても飲めるかどうかは保証しません)

 夕暮れ間近に枕崎からやって来た列車は、2人の高校生と私を降ろし、少しだけ賑わった駅もすぐに静寂が訪れた。ベンチに座って駅ノートを書きこんで
 いると、辺りはすっかり夜の帷に包まれた。正面には開聞岳のシルエットが黒く不気味に浮かび上がり、とてつもなく大きな化け物を連想させる。辺りを
 歩き周って撮影をしていると、やがて西鹿児島行きの最終列車がやって来た。今日最後となった客は、私という見知らぬ土地からやって来た旅人だけで
 ある。この日本最南端の駅は、連休になれば全国から沢山の訪問者で賑わうこともあるが、オフシーズンの平日は、“秘境駅”という意外な一面を見せる
 のであった。