2012/09/24  作成

大川ダム公園駅



会津鉄道 大川ダム公園駅 非電化路線ゆえ見通しの良さは素晴らしい!

  

生憎の梅雨だが、ホームの草花は喜んでいるかのよう  駅前通りはオートキャンプ場の他には何もない  国鉄仕様の駅名標があった


   訪問日記   1999年11月20日訪問  2008年7月18日 再訪

  昨今、地名にゆかりのある駅名が減少している。新設駅ならいざ知らず、既存の駅名が改称されることも数多い。地域活性につなげることを目的とし
 ているのか、そこに駅利用者の声が届いているとは考えにくい。冒頭から話が逸れたが、ここも類に漏れず駅名を改称している。もとは1927(昭和2)年
 11月1日、旧国鉄会津線の“舟子信号場”として開設。その後、仮乗降場になったが、大川ダム建設による線路付け替えにより150mほど高い場所へ
 移設された。こうして国鉄民営化の1987(昭和62)年4月1日に“舟子駅”として昇格するが、同年7月16日に会津鉄道へ転換した際、現在の“大川ダム
 公園駅”に改称されてしまった。こうして見ると舟子駅はわずか3ヵ月半ばの命であった。しかしダム建設によって集落は水没し、免れた人家も高台に
 ある数軒だけになってしまった。近年、駅前にオートキャンプ場が造られたが人影は見えない。本当に何もない駅だが、数奇な運命をたどって今に生き
 ている。

 
  今回の訪問にあたり、私は“塔のへつり駅”にクルマを駐車し、会津鉄道に乗って3駅目のここに下車した。片道400円の出費は大きかったが、当初の
 予想通り、周囲には何も無かった。的を射たりである。しかし夜間のため、詳しい状況が把握できない。待合室はコンクリ製の小さなもので、木造のそれ
 とは異なって結露するほどの湿気がこもり居心地が悪そうであった。ひとまずここから懐中電灯を頼りに隣の“芦ノ牧温泉南駅”まで1.5Km真っ暗な山中を
 歩くことにした。こうして15分後にやって来た列車でクルマが待つ“塔のへつり駅”へと戻った。帰りは300円で、行きより100円安かったが、あまりの寒さに
 120円で缶コーヒーを買ってしまう始末であった…。
 
 後年、ここに再訪する機会を得た。生憎の梅雨であったが、周りの植物が生き生きとして何だか幸せそうであった。普段であれば憂鬱な雨も心なしか楽
 しめる余裕さえ出来た。前回は何もなかった駅前に“オートキャンプ場”が出来ていたのに驚いたが、それ以外何も変わっていなかった。これから先もこ
 の地が平穏であることを願って止まない。