2015/11/30 作成
ひらんだ駅
ダム湖のほとりにカヌーを楽しむ若者たちを見る
しっかりした土盛りのホームにひらがなの駅名標が立つ。 駅の利用者は皆無に近いが、カヌーを漕ぐ彼らの声が響いていた。 待合所は奥行きの無い簡素なもの。
訪問日記 2011年10月22日 訪問
大井川鐡道の井川線に“ひらんだ”という小さな駅がある。 漢字では“平田”と書くが、難読のため駅名は平仮名にしたそうだ。国道の山側に数軒ほどの人家を見るが、駅は200mほど
下った湖の畔りにある。その湖は、長島ダムによって造られた人造湖の“接岨湖”のこと。駅前は“奥大井接岨湖カヌー競技場”になっており、時折、若者がカヌーを漕いでいる姿が見ら
れる。駅が新しいだけでなく、周りの雰囲気も若々しさに溢れている。
駅の開業は1990(平成2)年10月2日、先の長島ダムによる路線付け替えによって誕生した新しい駅だ。しかし、ダムの湖底には新駅が開業して役目を終えた“川根唐沢駅”が沈んでいる。
そこは1959(昭和34)年8月1日に開業し、周辺で産出される木材の輸送でたいそう賑わったそうだ。駅とともに唐沢集落は水没したが、狭い山側へ貼り付いたような“ひらんだ”の集落は
水没を免れた。そこは現在の駅からやや南方に位置するというが、異常渇水を期待するか、湖中を潜水するしか到達する術はないだろう…