2022/12/29 作成
伊那小沢駅
夕暮れにひっそりと佇む伊那小沢駅。 人も疎らだった退屈な一日が終わろうとしている。
ベンチが置かれただけの待合所 ホームからは天竜川を望み開放感がある 立派なコンクリート橋が掛かる天竜川
訪問日記 2009年6月18日 訪問
南北に212kmもある長さを誇る長野県。その最南部に伊那小沢という小さな駅がある。県内の新聞社や放送局は、春が近くなるとこの駅の様子を気に
掛けるという。 構内にある10本ほどのヒガンザクラは信州で最も早咲きと知られているからだ。そのため、毎年3月下旬になると一斉に報道各社が訪れ、
開花の話題をニュースでとりあげる。そんな話題の駅であっても、ふだんは閑静そのもの。天竜川に寄り添う急傾斜地にあるが、列車交換駅のため、
狭い立地ながらも2面2線の相対式ホームのほか、さらにトンネル脇へ延びてゆく保線用の待避線も備わる。
眼下に望む天竜川は谷が開けているせいか川幅が広く、コンクリートの立派な「水神橋」が目立っている。 しかし、人家は遠くに数軒ほどが見えるだけ。
およそ人影を見ない山里は高齢者ばかりが残され、一帯には悲壮感が漂う。高地ばかりでうすら寒い県内に春を伝える重要な使命を担うが、この駅に
“真の春”がやってくるかどうかは懐疑的である。