2000/9/20 作成
紀伊神谷駅
南海電鉄高野線 “紀伊神谷駅” ここは人家が見えない深い山間だが、古い駅舎にはしっかり駅員がいた
薄暗くて鬱蒼とした林の中に、狭い島式のホームを持つこの駅は、対向する電車を交換する駅として運行上、重要な拠点となっている
訪問日記 2000年9月2日 訪問
薄暗い林のなか、忽然と姿を現す古い駅舎。なぜこのような場所に駅があるのか?そんな疑問を投げかけたくなるこの駅は、南海高野線の終点・極楽橋の1つ手前にある。
昭和3年6月18日、高野山電気鉄道の神谷駅として開業。翌年までは終着駅を務めた。険しい山間部にあるため、周囲は鬱蒼とした森林が広がるだけで、人家はまったく見
えない。駅の利用者も一日当たり20人程度で、南海の駅全体の99駅のなかでも99位。つまり最下位という有り難くない称号こそ、秘境駅としての面目躍如といえよう。当然、
無人駅だろうと思って降り立つと、実は窓口で切符が売られる有人駅であることに驚く。そんな個性的な存在感も私鉄ならではのものだ。駅の正面軒下には下駄箱が置かれ
ている。これは地元の方が、足元の悪い山道を歩いてくるため、長靴を保管しておくものだ。ここで他所行きの靴に履き替えて大きな街へ出かけるといった寸法だ。まさしく駅
が生活の玄関口なのであった。