2001/9/21 作成
北秩父別駅
留萌本線 “北秩父別駅” 小さな板切れホームと掘建て小屋のような古い待合室は存在感が無い
広大な石狩平野のなかにポツンと存在しており、人家も遠くに散在しているだけである 停車する列車も極少なく利用価値は疑わしい
観察日記 2000年1月2日 停車中に観察
この駅は、同じ留萌本線の中でも他の頁で紹介している“東幌糠駅”と同様に一日に下りが2本、上りが3本が停車するだけの小駅である。古く小さな待合室には“北秩父別駅”
と書かれたレトロな駅名板が掲げられ良い味を出している。だが、ここを利用するには停車する列車が少なく、主要道からも外れているため利便性が良いとはいえない。それだけ
に忘れ去られたような存在になるが、これが皮肉にも秘境駅の魅力を高める理由になっている。けれども、駅のすぐそばに高速道路が建設されており、やがてこのあたりも殺風景
な雰囲気へと変貌してしまうのだろうか。
澄み切った青空が広がる石狩平野にポツンと佇むこの駅に、停車する列車は極少ない 板張りのホームに、味わい深い待合室が寄り添っている
内部は薄暗くて快適とはいえないが、じっとしていると特別な想いに耽ることが出来る 駅の裏手には只今、高速道路が建設中
訪問日記 2001年8月11日 訪問
ここは、停車する列車が一日あたり下りが2本、上りが3本だけで、列車を使っての到達難易度は困難である。前回の旅では、停車した列車からの観察に留まったが、今回は
“徒歩”ではあるが、到達することが出来た。青空澄み渡る快晴の石狩平野だが、並行する建設中の高速道路が視界を無残に遮っている。そんな物影に華奢な板張りの短い
ホームと、ちっぽけな木造の待合室が隠れるようにあった。壁には、風化が著しい駅名版が掛かっていて、ほのかな郷愁を漂わせる。入り口の扉を開けると中は薄暗く、壁際に
埃の被った造り付けの椅子が、ここがほとんど利用されていないことを無言で語っていた。
今朝、一夜の宿となった函館本線の蕨岱駅を出発した快速「ニセコライナー」は、小樽まで事実上普通列車として運行されている。途中、廃止されてしまった上目名駅の跡地を
カメラに収めつつ、山間の勾配をのんびりと過ごしながら終点の札幌駅に着く。ここから深川駅までは特急「スーパーホワイトアロー7号」で一気に進んだ。新鋭の785系電車は
平坦な石狩平野を最高130km/hで走るが、その乗り心地は騒音も揺れも少なく至って快適である。おそらく線路状態が良いのであろう。こうして一時間後には深川に到達し、
留萌本線に乗り換えた。しかし、乗車した列車はここには停車しない。仕方がないので、隣の秩父別駅で下車し、駅間距離の2.4kmを徒歩で訪問することにした。
真夏の炎天下の中を歩き出したが、歩く道は線路からだんだん離れて行く。次の交差点でまた線路方向へ向かう。3回ぐらい繰り返しただろうか?地図上で格子状に描かれた
道路を、鉄道が斜めに突き抜けている。必然的に歩く距離と時間は長くなっていく。喉が渇き、疲労が蓄積する。結局3km以上を歩いた格好になったが、効率の悪い駅間歩きは、
嫌がらせに近いものに感じてしまう。そんな無駄とも思える行路だが、遠くに小さなホームが見えてくると、足取りも軽くなった。達成感とは、自分が認めた価値観であれば、どん
な場面でも味わえるものだと感じるのであった。しかし、周囲に見える景色は期待を裏切ってしまうものばかりで、悲しいものがある。 完成してもまず採算の取れるとは思えない
高速道路のために、時折工事車両が通過して行く。こんな小さな駅でも、時代の移り変わりをつぶさに観察していくのであろう。