2013/11/20 作成

釧路湿原駅

      

釧網本線 釧路湿原駅 ログハウスの典型的な観光駅舎      駅前から細岡展望台へ階段が続く

      

左は釧路方面、右は網走方面    どちらにも人家は存在しない

      

細岡展望台から望む釧路湿原の絶景      駅名標の字体が何気なくノスタルジック

  訪問日記  2001年8月12日 訪問

  ここは北海道でも有数の観光路線である釧網本線にある。同名の釧路湿原の真っ只なかにあって人家一切存在しない。さらに道路も湿原を展望する細岡展望台
 (駅から400mで徒歩10分)へ続く階段の途中にあり、自動車での到達は不可能だ。いわゆる観光目的に特化しており、定期列車が通年で停車するのは下り2本と上り
 3本に過ぎない。その他は定期列車の臨時停車が下り5本と上り4本、さらに休日等に運行される臨時列車が上下1本づつが加わり、ほぼ倍数が不定期扱いである。
 駅の生い立ちは、1988(昭和63)年7月23日、JR北海道の臨時駅として開業。ブームもあって多くの観光客が利用するようになり、1996(平成8)年12月1日に頭の(臨)
 が取れ、晴れて常設駅となった。湿原そのものが国の天然記念物に指定されているため、駅から直接湿原へ立ち入ることは厳しく制限されている。この素晴らしい景
 観を将来に渡って保全していくためにも厳に慎むべきだ。仮に若気の至りに乗じて足を踏み入れたとしても、泥炭で真っ黒になったドロドロの姿になることは想像に難
 しくない。まさに某球団が優勝した勢いで道頓堀川に飛びこんでしまった“可哀そうな人”に等しく、かような状態で列車に乗られても他の乗客へ迷惑になろう。

 
 またしても余計なことを考えてしまった。今回ここには日本一周旅の途中で立ち寄ることにした。まず緑駅で駅寝した早朝、南斜里駅の訪問を果たし、訓北峠のトンネ
 ルを越えてこの釧路湿原駅で降りた。周囲に人家が一軒も無く、大湿原の真っ只中にあるため一流の秘境駅というロケーションを誇っている。しかしながら、観光客の
 多さは如何ともし難く、私が考える秘境駅の趣旨とは相反する。にわかに心外だったが、気を取り直して展望台へと登ってみた。それでも雄大な景色は素晴らしく、ひ
 としきり感動した。その後、隣の細岡駅までの2.4kmを歩いて行くことにする。列車で来た人々は駅への階段を降り、車で来た人々はイソイソと次の目的地へと向かっ
 て行く。こんな私でも展望台では観光客の一人になれたが、やはり多勢とは足並みが揃わない。ダートの車道を観光客が飛ばす自動車の砂塵を浴びながら、ひとり
 トボトボと歩いて行くのであった。