2001/9/7 作成

南今庄駅

北陸本線“南今庄駅” すっかり夜も更けしまったこの駅に、やってくるのは虫ばかり

    

駅のすぐ裏には県道が通っているが、夜中の通行は滅多に無い   駅の周囲に人家はほとんど存在せず、川のせせらぎと虫の声だけが辺りに響く

    訪問日記   2001年8月8日 訪問

  ここは、北陸本線で最も長い13,900メートルを誇る“北陸トンネル”のすぐ傍にあり、隣の敦賀駅との駅間距離は実に16.6kmにも及ぶ。路線は近畿・中部地方と北陸地方を
 結ぶ大幹線のため、特急列車は勿論、遠くは青森や北海道まで足を伸ばす寝台特急、さらに長大編成の貨物列車など、多くの乗客だけでなく、多種多様の物資も日夜行き
 交っている。けれども、ここには普通列車しか停まらず、他の優等列車は猛スピードで駆け抜けて行くだけだ。周囲に見える人家は無く、駅前には交通量の少ない県道が通
 っているだけ。駅前に真新しい公営休憩所があるものの、誰にも利用されることも無くポツンと建っているに過ぎない。背後は鬱蒼とした森林が生い茂っており、およそ人の
 手が入っていることを感じさせないほど、豊かな自然に囲まれている。

 今回、ここへ訪問したのは夜遅い時間になってしまった。山陰本線の“立木駅”の訪問を終え、綾部より舞鶴線で東舞鶴、さらに小浜線へ乗り継いで、ようやく隣の敦賀へ着
 いた。乗り換えに1時間あまり出来たので、思い切って銭湯へ行くことにした。しかし、初めて降りたこの街でスムーズな足取りで銭湯へ行ける筈も無く、交番のお巡りさんへ
 近くの銭湯までの道を教えて貰った。“敦賀温泉”と名が付いたその銭湯は、昔ながらの懐かしいものであったが、久しぶりのお湯は疲れた体に深く染み渡り、一気に疲れが
 取れていった。さっぱりとした湯上りに涼しい夜風が気持ちいい。こうして駅までフラフラと歩いて行くのだが、近道をしようとして、とあるスーパーの商品搬入口で終わる袋小
 路に迷い込んでしまった。あれれ?仕方なく元の道に戻ろう歩き出すが、何やら訳の分からない場所に出てしまった。次第に乗車する列車の発車時間が迫ってきて焦ってき
 た。その後、見覚えのある通りに出れたので無事に駅へ着き、目的の列車には間に合ったが、おかげで余計な汗を掻いてしまった。慣れない土地で横着するものでは無い
 としばし反省する。

  こうして、もと寝台特急電車である583系を改造した419系普通列車に乗り、長い北陸トンネルを抜けてこの南今庄駅への訪問となった。私一人が降りただけで、乗ってきた
 列車は赤いテールランプの光を残して漆黒の闇に過ぎ去って行った。ホーム上にある待合室の中へ荷物を置こうと、中に入った瞬間のことである。いきなり私の顔面に蜘蛛
 の巣が“ヘッドバット”を食らわすではないか! 髪の毛にまでへばり付いたソレは、粘着質であまりにも不快極まりない! さらに室内ににもおびただしい数の蜘蛛が…。
 かなりヘヴィな環境であった。当初、この駅で駅寝をする予定であったが、急遽予定を変更し、福井から夜行急行の「きたぐに」に乗って柏崎まで北上することにした。次の
 福井行きの最終列車が到着するまで、真っ暗な闇の中を探検をすることにしたが、駅以外には照明は無く、行動範囲はかなり絞られた。それでも人家はなく自然味あふれる
 雰囲気は素晴らしい。今度は日中に訪問してみたいと思うのであった。