2001/06/16 作成

薩摩高城駅



鹿児島本線 “薩摩高城駅” 集落からは遠く、海辺にひっそりと佇んでいるような駅である

        

駅のすぐ脇には東シナ海を望み、とても開放感に溢れている      駅名標は国鉄時代そのものである木製タイプ残っている

        

駅の裏手にドライブインが1軒あり、すぐ脇には国道3号線が通る   上り線ホームから海岸の砂丘へは徒歩1分。 散歩には最高だ


    訪問日記   2001年5月12日 訪問

  ここは、鹿児島本線の阿久根〜川内間にある小さな駅。開設は戦後の昭和27年5月1日で、同線区にある他の駅に比べると新しい方だ。周囲にある人家は脇を通る
 国道3号線沿いに1軒のドライブインが存在するだけ。他の人家は数百メートルほど下った先に集落があるだけで、駅を中心に街が形成されてものではない。当初から
 駅として開業してはいるものの、その実態は主に列車の行き違いや、優等列車などの待避を目的とした信号場のような役割だったと思われる。さらに駅の立地は自然
 味豊かな場所にあって、小規模な砂丘を越えると広大な東シナ海を望む海岸へ出る。地形的には入り江のようになっていて、湾内には魚の養殖場も見受けられる。さら
 に、小高い砂丘は周囲をぐるりと一周できるため、ここへ訪問された方は是非歩いてみることをお勧めしたい。

 今回私はこの駅を訪問するにあたり、深夜の博多駅より夜行特急「ドリームつばめ」の自由席に乗車した。鳥栖、大牟田あたりまでは帰宅が遅くなったサラリーマンでか
 なり混雑していたが、停車して行くに連れ減ってゆき、熊本あたりでほとんど降りてしまった。旅の疲れが出てきたせいか、うっすらと寝てはまた起きることを幾度も繰り
 返していた。もうろうとした意識のなか、川内駅到着のアナウンスを何とか聞き取り、早朝の5:16に列車を降りた。川内駅を6:00に出る始発電車に乗り、3駅先のここで
 下車した。清々しい朝の空気を胸一杯にため、気だるい体を動かしながら周囲の探索を開始した。上り線ホームにある待合所のベンチに荷物を置き、脇から茂みを分
 け入る道で歩みを進めた。靴の中に砂が入ってくるのが難点だが、構わず進むと小高い丘の頂上へ出た。そこから眺める展望は、遠くに甑列島の姿を望む雄大なもの
 で思わず大感動!気だるかった眠気も吹っ飛び、すっかりここが気に入ってしまった。眼下に一人の男が吊り竿を持って砂浜の海岸を歩く姿を横目に、砂丘をぐるりと一
 周して駅へ戻った。
 
 今度は国道3号線へと出てみたが、一桁国道ゆえ交通量が多く、今ひとつ雰囲気が悪い。集落の見えるところまで坂を降りて行ったが、取りたて見所もなく、すぐに駅へ
 引き返して来た。そんな、朝の散歩を充分に堪能し、水俣行きの普通列車がやって来たので乗車した。しばらく発車せずに待っていると、後続の特急「つばめ2号」が駆
 け抜けて行った。こうして往年の475系急行型電車を使用した普通列車は、一つ一つの駅に停まりながら、ゆっくりと北上して行くのであった。

 ※ここは九州新幹線の開業によって、鹿児島本線から「肥薩おれんじ鉄道」の駅へ変わりました。走る列車も電化こそ残されましたが、すべて新型の気動車になりました。
  少しばかりの寂しさもありますが、この先も末長く頑張って欲しいものです。