2001/08/17 作成
土佐北川駅
土讃線 “土佐北川駅” 吉野川の支流である穴内川に掛る鉄橋上の駅だ
駅前広場は何も無いが、橋を渡って対岸には国道32号線が通っており、車の音が響いてくる 右へ折れると駅ホームへ到達する
鉄橋上のホームは島式でかなり狭いが、列車交換が可能 待合室はここまで来る途中の階段の踊り場にあるが、内部はかなり薄暗い
訪問日記 2001年8月6日 訪問
ここは、吉野川支流の穴内川にかかるトラス橋の上にある、非常に珍しい形態の駅だ。橋上には狭いながらも島式のホームを持っており、列車交換(行き
違い)が可能である。待合室はホームを降りて行く階段の途中にあり、ほとんど日が差さず薄暗い。周囲に人家は数軒ほどで、利用者は少ないと思われる。
だが、川を挟んで反対側は、かなり交通量の多い国道32号線が通っていて、大型トラックの通行も多く、閑静な雰囲気であるとは言い難い。
今回、私は“日本一周秘境駅訪問旅”の途中に立ち寄った。昨日訪問した紀勢本線の“波田須駅”から新宮へ出て、紀伊半島を一回りした後、関西本線と
奈良線を乗り継いで京都駅までやって来た。今夜の宿は、ここを始発とする臨時夜行快速“ムーンライト高知”だ。この列車は、松山へと向かう“ムーンライト
松山”、さらに下関へと向かう“ムーンライト山陽”という3つの列車を併結して走る。出発駅の京都で食料調達を済ませ、この座り心地の悪い旧式の簡易リ
クライニングシートへ身を折り曲げながら一夜を過ごした。夜中の岡山で“ムーンライト山陽”、瀬戸大橋を渡って四国へと入り、多度津駅で“ムーンライト松
山”と別れ、晴れて独立した列車となった。しかし、列車の終点の高知まで乗車するつもりは無く、早々と阿波池田駅でさっさと降りてしまう。およそ10分後
に後を追う普通列車に乗ってようやく“土佐北川駅”へ着いた。
さすがに座席夜行の2連泊はしんどい。気だるい体を引きずりながらホームに降り、心身をリフレッシュするため、駅の探索を開始。けれども、珍しい形態の
駅とあって、次第に好奇心が沸き起こってきた。川の対岸まで鉄橋に併設された歩道があり、気が急くあまり小走りになってしまう自分が気恥ずかしい。渡
り切ると民家の庭先のような所に出て、そこの主人がランニング姿で背伸びをしていたので挨拶を交わす。すると、庭から突然“アヒル”が飛び出してきてビ
ックリ! ゾクゾクするようなローカル体験だ。今度は歩道の無い国道を、対岸に駅を眺めながら歩く。時折マナーの悪いトラックが、私の歩く脇をほとんどス
レスレに通過して行き、恐ろしい思いをした。こうして恐怖の国道から左に折れ、橋を渡って駅に戻った。やがてトンネルから抜けてきた列車は、“ガタンガ
タン”と鉄橋を鳴らしながら到着。わずかばかりの時間であったが、興味深い時間が過ごせて満足度の高い駅であった。